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【第2回 ファーウェイ 強さの秘密】[書評第一章]ファーウェイの強さの真髄とは

ファーウェイ 強さの秘密 任正非の経営哲学36の言葉

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ファーウェイの強さ

が具体的にわかる

ファーウェイ 強さの秘密 任正非の経営哲学36の言葉(Deng Bin著 日本実業出版社)」

を紹介していく。

*著者では Deng Bin

筆者では このブログの書き手を指す

 

第一回の記事はこちら

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ファーウェイ 強さの秘密 任正非の経営哲学36の言葉 [ トウ斌 ] 価格:2200円(税込、送料無料) (2021/5/11時点) 楽天で購入   […]

 

第二回

第一章 マネジメントが引き出す力

第一線が武器を要請する

顧客サービスをよりよくするために我々は砲声が聞こえる場所に「指揮所」を設け、予算計画を策定する権限、販売の決定権を第一線に与えています。つまり、砲声が聞こえる第一線の人たちに決断してもらっているのです。

戦うかどうかは顧客が決めるもので、どう戦うかは前線が実行していくものです。

前線が指揮するのであって、後方が前線を指揮するのではありません。

ファーウェイでは、第一線のマーケティング部が大口取引の獲得にあたってマンパワーが不足する際は、エキスパートによるプロジェクトサポートやリソースの提供などを要請する。

これを「第一線が武器を要請する」という。

 

すなわち、最前線のマーケティング部が「サポートや資源が足りないから、頂戴」と他部署や本社などに要請することが可能である。

 

通常、日本などの国では他部署がマーケティング部に支援「してあげている」状態だが、

ファーウェイでは支援「させていただいている」ことになる。

 

このファーウェイの体制について、以下の3つの例で詳しく説明する。

社内の呼称を変える

創業者の任正非はファーウェイの深セン本社のことを(日本語で)「事務所」と呼び、「本社」と読んではならないとしている。

 

大企業の本社にいる人は、えてして

「決定権を持っているのは本社で、市場の第一線にいる人は本社の指示だけを聞いて外を駆けずり回るものだ」と思っている。

 

企業にこのような雰囲気が漂うならば、どうして顧客に一番近い第一線が意欲を保てるだろうか。

「現場の苦労も知らないで」とモチベーションが下がってしまうだろう。

 

任正非は次のように考えている。

「ファーウェイは資金がないので、すべての価値はお客様に創造してもらう。したがって、従業員がみな第一線でお客様に寄り添いたいと願えば、ファーウェイはサスティナブルな未来を持つことができる。そのためには、一番お客様に近い第一線に十分な権限を与えなければならない。第二線(他部署)は第一線の「事務所」としてただ後方支援すればよい。口出しするのは厳禁である。」

 

関連して、ファーウェイの役職クラスは第一線のほうが第二戦よりも半クラス~1クラス高いのが当たり前である。

例えば、第一線の西アフリカ地区担当のAさんが、在庫管理部門の主任であるBさんにばったりあったとする。するとBさんは腰をかがめて、「Aさん、こんにちは」とあいさつする。

 

そう、第二戦の「主任」や「部長」は肩書に過ぎないのである。

ワークフロー変更の方向

これは任正非の言葉を引用したほうがわかりやすいだろう。

ファーウェイのマネジメントの目標は、ワークフロー化された組織を構築することである。

「押すと引くを組み合わせ、引く方をメインとする」ワークフロー化された組織とオペレーションシステムを構築するのだ。

かつてのオペレーションは「押す」メカニズムだったが、今の我々に必要なのはそれを少しずつ「引く」メカニズムへと変えていくことだ。

押している時は本社の権威が巨大なエンジンとして推進され、無用のワークフロー、やる気のない職場がよく見えない。

一方で引いている時は、どのロープに力がないかわかるので、すぐにそれを切り、そのロープの先にある部門や従業員を削減しすべて予備隊に回す。こうすれば組織の効率は大幅に上がるだろう。

権限を与える

力(権限)を与える例として次のようなことがある。

ファーウェイでは職級13級の若手従業員に、職級21級の事務所の幹部を「呼び出す」権限が与えられている。 ファーウェイでは大学院を修了して新卒で入社した場合、1年間の業務でミスがなければ13級に進める(12級及びそれ以下はオペレーターという)。

 

これはファーウェイのナレッジワーカーのスタート時の職級である。

また21級はファーウェイにおいて、かなり高い職級である。突出した貢献を続けている人物である16年から18年ほどのキャリアがなければこのクラスにたどり着くのは難しい。

 

ファーウェイではこの13級の第一線のひよっこが、プロジェクトで必要であれば見ず知らずの21級の事務所の幹部に、それも真夜中に電話をかけることもできる。しかも相手はその電話に出なければならない。

これこそがメカニズムの面において組織が力を与えるということなのだ 。

 

「先輩方のサポートに感謝いたします。追って議事録を CCで各位にお送りしますので、みなさんは明日の朝、部門に戻られたらリソースを確定してください。」

ファーウェイには明文化されていない規則がある。それは

「議事録には法的効力があり、メールこそが命令である(Mail is Order)」というものだ。

 

同業他社の多くはサインがなければ議事録を実行することは難しい。ところがファーウェイではこのように言っている。

 

「第一線に必要なリソースがどれくらいかなんて私にも分かりません。砲声が聞こえる人に武器を要請させているだけ。彼が顧客に最も近いのだから、全員まず彼の話を聞くべきです。それから彼を信じること。事が終わってから検証し、弾薬を浪費していたと判明したら後で貸しを清算すればよい。いずれにしても経験できれば良いのです 。」

将軍はたたき上げであれ

我々は前進拠点に上陸する勇気のある戦士たちを多く育てなければなりません。

このような戦士たちは組織と幹部体制を活性化し続けてくれるからです。

前進拠点にいる軍隊が縦深のある発展という任務を負えなかったとしても、幹部が成長すれば、より深く発展させる戦略家になれるでしょう。勝とうとする勇気があれば、良い勝利ができるのです。

 

「猛将は一兵卒から生まれ、宰相は地方から起こる」。各クラスの部門は、功を実践したものの中から幹部を選抜するのがベストです。末端組織での実務経験のない幹部は、実戦での成功体験を補う必要があります。そうでなければ、重要な任務を担うのは難しいです。

 

中国企業のナレッジワーカーのマネジメントを研究するならファーウェイはとても良い手本になる。北京大学や清華大学のような難関大学を卒業した優秀な学生である。

 

彼らは在学中に取得した成績や、修士や博士といった高い学歴を手放し、末端組織からスタートする。

任正非は数年のうちにこういった上品で礼儀正しい「秀才」の軍団を思い通りの「戦士」に改造する。

ファーウェイに入社できる人間は全体的に「基礎力」が非常に高い。だが人には実践が必要で、口で言うのと実際にできることは別物である。そのためファーウェイでは幹部を選抜する際に、重要な出来事を非常に重視する。

 

典型的な場面や重要な出来事から幹部となり得るかどうかを観察するもので、幹部が難題に遭遇した時に速やかに選択し、突撃すると有利に働く。

 

具体的には以下の4つの例が良いだろう。

1、実戦で成功したチームの中から優先的に幹部を選抜する

これは日本企業でも採用している手法だろう。成功したプロジェクトチームから幹部を選抜しなければ、誰が幹部にふさわしいだろうか。

 

日本から見て、

ファーウェイはスマホやタブレット、ノートパソコンの電気機器メーカーだと認識するだろう。

これは現在ではあながち間違っていないが、ファーウェイの源流は通信機器にある。

 

ファーウェイには「C&C08交換機」という伝説の製品がある。ファーウェイが独自に開発した初めてのプログラム制御デジタル交換機である。伝達、無線、デジタル通信等、ファーウェイの主力製品となる製品のマザーがこのC&C08交換機となり、ここからファーウェイは黎明し今のファーウェイの原型となった。

 

このような伝説の製品の裏には優れたプロジェクトチームが必ず存在する。のちのファーウェイの幹部となるエキスパートたちが、このプロジェクトチームから誕生し、核心、中心となって現在のファーウェイを形作った。

 

2、主力の戦場、第一線および苦労した地区から優先的に幹部を選抜する

「売上高」という目に見える成績を上げたものだけが昇格するのではない。

 

競合と悪戦苦闘を繰り広げたプロジェクトチームからも積極的に奨励する。相手の市場シェアを減らせば、自社の売上高が増えなくとも、相対的にファーウェイの価値が増加するからだ。

3、会社の長期的な発展に影響を与えた重要な出来事から、優先的に幹部を選抜する

会社組織が生き残りたい、発展したいと願うなら現在だけでなく未来にも着目する必要がある。

ファーウェイは第一線で戦い、競争で勝ち得た人たちを会社の様々な変革プロジェクトに選抜し、未来のファーウェイの競争方法をアウトプットさせる。

 

変革プロジェクトに参加したメンバーはプロジェクト終了後、元の部門に戻ろうが新しい職場に配置されようが、基本的に昇格させる。

 

日本企業を含め、多くの企業の変革プロジェクトが進まないのは、

変革プロジェクトに参加した場合、終了後に元の部門の「ポスト」がなくなっていることを懸念するためである。

変革に成功する確率は高くはない。しかし、変革しなければ生き残れない。プロジェクト参加後の「場所」を今の役職よりも高いところに設定すれば、優秀な人材が自らプロジェクトに参加する。

4、競争の文化であり、馬を見分ける文化にあらず

ファーウェイの幹部は幹部は掲示板で業務を任命されるが、よくこんな辞令を見かける。「A、西アフリカ地区・ターミナル事業部長(まだ任命されていない)、ラテンアメリカ地区・法人業務部部長に仮任命」

ファーウェイでは「まず才能ありき、地位はそれから(先有為、再有位)」を提唱している。ファーウェイ内部には、まだ任命されていないうちに部門の業務を取り仕切る幹部が大勢いる。

 

幸せを分かち合う文化

ファーウェイの価値評価基準は曖昧なものにせず、「奮闘者が基礎、労多くして得るもの多し」の思想を堅持するべきです。皆さんが良い仕事をすれば、高い報酬を支払います。

 

我々は「雷蜂」のような自己犠牲をいとわない人に損はさせません。「雷蜂」が裕福なら、誰もが「雷蜂」になりたいと思うでしょう。ここ3~5年の間、会社の革新という任務は大変重要になっています。

 

戦力の機会点において我々に前進を促すかもしれませんし、我々はこの軍隊が前進するのを激励しなければならないのです。

雷蜂 1940~1962年。事故により21歳で夭折(若くして亡くなる)した中国人民解放軍の兵士の名。本名は雷正興。勤勉で真面目、弱者を助けた。このため共産主義青年団の模範として讃えられ、政治宣伝に利用された。
任正非はなぜ18万人ものナレッジワーカーを集めて、号令一つで命令し、思い通りに動かせるのか。
それは「幸せを分かち合う文化があるから」だ。
従業員が一つのことを成し遂げられるか同課は「能力」と「志」という2つの要素にかかっている。ファーウェイの従業員の、全体的な能力の水準は業界では高いほうだ。
したがっていかにして彼らの志を刺激するかがカギであり、またその中でも彼らに会社のことを自分のことのように考えてもらうことがポイントになる。
ファーウェイの従業員の貢献に対して会社が与える重要な報奨とは「金銭」である。
ファーウェイの多くの従業員は世間一般の生活をしているので、
仕事をするうえで最も重要な要求は、収入が上がること、生活が改善されることである。
有効な報奨によって報酬対象を会社に繋ぎ止めるのは、彼らを利益共同体、さらには運命共同体とならしめることになる。すべての従業員が任正非を崇拝するわけではない。自分の収入が上がって喜ばない人間はおらず、万人の利己は自ずと万人の利益となる。
一方で、競争という環境は ファーウェイの従業員を巻き込んでひたすら前へと駆り立て競走馬のように身動きが取れなくなっている。
ファーウェイの報奨制度は大きく次の四つに分けられる。
  1. 長期的報奨…ファントムストック
  2. 中長期的報奨…時間単位計画
  3. 中短期的報奨…冬のボーナス+プロジェクト特別賞+社長賞
  4. 基本給

 

一般的には任正非は「馬鹿なおじいさん」だと思われている。
お金があればそこらじゅうに撒き散らしているからだ。ファーウェイの従業員への待遇は一般的にかなり厚い。つまり最初に従業員に支払う金額は従業員の予想を超えていて、言わば払いすぎだ。
以下、ファーウェイジャパンの新卒初任給

ソリューションセールス・端末リテールマーケティング・研究職:
学士卒:月給40.1万円 (月45時間分、103,351円の固定残業手当含む。45時間超過分は別途支給)
修士卒:月給43.0万円 (月45時間分、110,825円の固定残業手当含む。45時間超過分は別途支給)
博士卒:月給45.0万円 (月45時間分、115,979円の固定残業手当含む。45時間超過分は別途支給)

その他総合職 :
学士卒:月給35.0万円 (月45時間分 、90,206円の固定残業手当含む。45時間超過分は別途支給)
博士卒:月給43.0万円 (月45時間分、110,825円の固定残業手当含む。45時間超過分は別途支給)

リクナビより

 

しかし従業員が報酬を手にしたとき、
社長は太っ腹すぎる、社長から与えられた待遇に対して自分のしたちっぽけな仕事では面目ない、もっと貢献しなければ社長に申し訳が立たないと思うだろう。
それとともにいつまでも怠けていたり、自分の業務をおろそかにしたりしないようにし、すぐにでも実績を出そうと考えるだろう。
以上の2点を基本として、従業員を価値を生み出すことに心から貢献している。
事実、能力が非常に高いナレッジワーカーたちは内心「信用こそが、最も裏切ってはならないもの」だと思っているのである 。
一方で
ファーウェイでは従業員の収入が業界の平均水準より高い反面、調整を続け高くなりすぎるのを回避している。高くなりすぎてしまったら、従業員はやる気を失ってしまうからだ。
例えば年俸が約3億円だったら努力しようとする気持ちがあるだろうか。
正常な人間なら、努力するはずがない。
「ブタも太りすぎればうめき声すら上げなくなる」と任正非は言う。
この ファーウェイが非上場を貫くその重要な理由である。ファーウェイが報奨方法を調整し続けるのは、怠惰で強欲な人間性に対処していくためである。
第三回 第二章「マネジメントの推進力」に続く
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